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「リフロック」

リフから作曲を始めたリフロックである。シンセはデジタルとアナログを節操無く使用し、あげくMSGSまで取り入れた。
本曲のインタールードで聴ける、よく分からない箇所は、MSGSで演奏されている。スタジオの機材を介した、高級な音色だけが音楽を作る上での絶対でないというのは、昨今のミュージシャンたちが取り入れる製作法や発表形態からも、特にその思いが強まるが、MSGSともなれば、話は別かもしれない。予想通り、場違いでシュールな感じに仕上がった。

・リフについて

譜例のベースラインは、ピックで奏されたベースの他にも、エレキギターとアコースティックギターで演奏されている。ハーモニーを担当する楽器たちは、およそ根音を演奏していないため、ベースラインの旋律的な動きに影響され易く、おのずとコードを流動的に変化させている。

北園みなみ Lumiere Liner Notes

「ミッドナイト・ブルー」

ビッグバンド作品は本作で三作目にあたり、実際の演奏が収録された初の作品となる。
サキソフォンのパートは通常の人数より少ない4人編成とした。本作では、いくらか騒がしさを演出するため、リズムセクションのコードや装飾を担当する楽器に、ギター2本とキーボード1台を使用した。いくらかサウンドを明瞭にするため、ビッグバンドの軽量化を図った末に、今回の編成とした。
FMシンセのエレクトリック・ピアノ(以下エレピ)を使用することを思い立ったのは、ビッグバンドの収録を終えてからのことであった。当初は、ローズかピアノと決め込んでいたが、ポップスのミュージシャンお得意の、流しながらあれこれ弾いてみる、の方法をとって、しっくりきたのがエレピだった。
80年代には、ボブ・ミンツァーや、ジョー・ザビヌルといった一流のアレンジャーたちが関与したビッグバンドで、FMシンセやデジタルシンセを取り入れたサウンドが聴け始めた。同時期のフランク・ザッパも、ジャズのコンボ編成に、デジタルシンセの薄く軽いオルガンを加え特異なムードを作り上げた。こういったサウンドは、現代ではとっくに悪趣味がられているきらいがある。一部の物好きが思い立って、しかし一笑に付してしまう様なアイディアに過ぎないだろう。

・インタールードのサックス四重奏

インタルードでは、ボーカルの背景にシンプルなサックスの四重奏が聴ける。

北園みなみ Lumiere Liner Notes

こういったアレンジは、声部を限定して行う必要がある。おのずと楽器数の少ない場面で効果を発揮させやすい。
以下は参考の譜面である。ちょっとした模倣(ここでは追っかけの様な部分)が行われ、また、それらの内声やメロディーが、響きに微妙な変化をもたらしている。

・アウトロの響き

アッパストラクチャートライアド(以下UST)とは、トライアド(三和音)の上部と、構造に関して規定のない下部からなる和音構成である。
私が好んで使うものに、以下の様な方法がある。

北園みなみ Lumiere Liner Notes

音源_UST

上部、下部共にドミナントモーション(不協和音が解決先へと進行すること)している。そして、永遠に解決先を求めるように、不協和音から不協和音へと進行を繰り返すことも可能である。
本曲のアウトロでは以下の様なUSTの手法が聞ける。

北園みなみ Lumiere Liner Notes

USTの手法をアレンジでも生かすには、上部と下部に音色的な対比を与えるのが望ましい。曲中では、上部をトランペットに、下部をトロンボーンとサキソフォンに担当させている。また、上部と下部、それぞれの音色の主体を決定すれば、例えば、サキソフォンをトランペットとトロンボーンの中間に配置しても効果は失われない。
そのため、ビッグバンドの編成においては、管楽器以外の楽器は、比較的、自由に配置することができるだろう。

text by Minami Kitasono